「ブロークバック・マウンテン」ゲイ映画だけど名作。ヒースレジャーの演技は歴史に名を残す

2005年ヴェネツィア国際映画祭で最高賞である金獅子賞を受賞。 ゴールデングローブ賞作品賞(ドラマ部門)、監督賞、脚本賞、主題歌賞の4部門を受賞。 2006年アカデミー賞は8部門にノミネート。監督賞、脚色賞、作曲賞の3部門を受賞 ヒース・レジャーの演技が素晴らしい。この演技で一気に演技派俳優として認められた。 「パトリオット」でヒースの父親役で共演したメル・ギブソンからは、この映画の出演を辞めるように諭されたが、ヒースは聞く耳を持たなかった。メルギブソンは、熱心なカトリック信者として知られるので、ゲイに嫌悪感を抱いていると思われる。 ジャックの妻を演じたアン・ハサウェイの兄はゲイである。アン・ハサウェイの家族はカトリック信者であったが、個人の性的ゲイを認めない宗教には属せないとカトリック教会から家族全員が離脱した経緯がある

ブロークバック・マウンテンの基本情報・感想レビュー

監督: アン・リー 公開年: 2005 年 映画時間: 134分 分

出演: ヒース・レジャー、ジェイク・ジレンホール、アン・ハサウェイ
原題: Brokeback Mountain 原作: E・アニー・プルー「Brokeback Mountain」

ブロークバック・マウンテンの評価・採点
かに助おすすめ度 4.0
気軽に観れるか 3.0
2回目観たい度 3.5
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ブロークバック・マウンテンのあらすじ(ネタバレ無し)

ブロークバックマウンテンの山中で羊の放牧を行う季節労働者として、イニスとジャックが出会う。
 
イニス(ヒースレジャー)はぶっきらぼうで無口な昔気質な性格なカウボーイ、ジャック(ジェイク・ジレンホール)は陽気でおしゃべりなロデオ乗り。

性格も大きく異なる2人だったが、過酷な山中での2人の生活の中で、親密になっていく。
ところが、ある夜、ジャックがイニスを誘い、2人は友達としての一線を越えてしまう。

お互いに愛情をもちながらも、どこか後ろめたい気持ちがある2人は季節労働が終わると、再会を約束することなく別れる。

その後、2人はお互いに結婚して、家庭を持つ。イニスは、婚約者と結婚して2人の女の子を育てる日々。
幸せな家庭・・のはずが、小さい子供が泣き叫び、妻も子供の世話で手一杯で自分に構ってくれない。

家で自分の居場所がなく、いつもイライラしているイニス。そんなイニスへ、ブロークバックマウンテンの絵はがきが届いた。
ジャックと山で別れてから4年ぶりの連絡に、イニスは大喜びしてジャックに連絡して再会を果たす。

それから・・・ジャックとイニスは、年に1,2度、二人きりで山で会うようになる。

お互いの家族には、釣りをするんだと言ってはいるが・・・・イニスの妻 アルマは2人の関係に気づいているが言い出せずにいる。

そんな二重生活が何年も続いていたが・・

映画「ブロークバック・マウンテン」の評価(管理人の感想)

この映画は、観る人をかなり選ぶな・・というのが第一印象です。まず時代背景やら地理的な文化的背景が、日本人には分かりづらいです。

1960年代を描いた話であること。
ブロークバックマウンテンのある場所は、アメリカのワイオミング州というド田舎で、カウボーイの男社会が形成されている。
カウボーイの伝統が残るため、保守的な考えが街を支配しており、ゲイなどの異質なモノを受け入れられない。

このあたりを前提知識として持っていると、より映画に深みが出るかと思います。

映画としての完成度は非常に高いです。ヒースレジャーとジェークギレンホールの陰陽の演技は、観ていて飽きません。
特にヒースレジャーの演技は、ギルバート・グレイプでディカプリオの演技を観た時くらいの衝撃を受けました。

がに股で無口で、独特の籠もった様な声の出し方。まさに不器用なカウボーイそのもので、とても演技とは思えない自然な役作り。

一方のジェークギレンホールも、あのキョロキョロとした目の奥に、見え隠れする家族への不満とイニスへの強い想い。
ヒースレジャーが演じるイニスの不器用な男とは対局の、お調子者だけど哀愁漂う繊細な男を見事に演じています。

この2人の演技が目立ちますがそれだけではありません。

ブロークバックマウンテンの美しい景色や、それに会う音楽。この映画の世界にどんどん引き込まれていくのは間違いありません。アカデミー監督賞を受賞したのも納得です

しかーし!やっぱり私はストーリーに共感できない場面が多くありました。
綺麗な奥さん、そしてかわいい赤ちゃん。どちらも幸せな家庭がありながら、男の友情?のほうを優先してしまう。

ガミガミ言う奥さんや、言うことを聞かない小さな子供よりも、男同士で静かに戯れていたい・・みたいな。

妻が子供の相手ばかりして、自分(旦那)の相手をしてくれなくなった・・なんてのは日本でもニュースなどで良く聞く話ですよね?
海外の男も同じ感覚なんだな~と変に関心したのと、だからといって、男友達に走るってのはちょっと無理があるんじゃない?と思いました。
私(男)も、学生時代の友人で、尊敬する男友達ってのはいましたが、そんな関係になる・・というのは別次元だなと思います。

考えただけで、オェー!です。

監督のアン・リーは、この映画を同性愛映画としてではなく、純愛映画として造ったとコメントしていました。

それはよくわかります。人を想う気持ちはとても良く表現されています。

特にこの映画のラストにある事件が起こるのですが、そのあたりの演出。ある程度観客の想像に任される部分があるのですが、とても秀逸で、鑑賞後の余韻もなかなか良いです

でも、この映画凄く良かったよ~!と男友達には勧めにくいですよね?

もし私(男)が、この映画を観ろと「男友達から」薦められたとしたら・・・「狙われてる?」と勘ぐるに違いありません。

どちらかというと女性にお勧めかな?よく女子校出身の子は、先輩後輩などで女子同士の疑似恋愛?みたいな経験をしている子が多く、こういうストーリーにも許容範囲が広いように思います。